ビジネスメールや公式な文書、スピーチなどでよく使われる「御礼申し上げます」という表現。
丁寧な言い回しとして目にする機会が多く、社会人であれば一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
しかし実際に使おうとすると、
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読み方は合っているのかな?
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「お礼」との違いって何?
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どんな場面で使うのが正しいの?
と迷ってしまうこともありますよね。
この記事では「御礼申し上げます」という言葉の正しい読み方や意味をはじめ、どんな場面で使うのがふさわしいのか、注意したい表記上のポイント、そして英語ではどう表現できるのかまで、幅広く解説します。
ビジネスシーンだけでなく、就職活動やフォーマルな挨拶文など、幅広い場面で役立つ言葉ですので、ぜひこの機会にしっかりと理解しておきましょう。
「御礼申し上げます」という言葉を深く知る:意味・使い方・歴史まで詳しく解説
フォーマルな場面で使われる丁寧な表現とは?
「御礼申し上げます(おんれいもうしあげます)」という言葉は、特別に丁寧な感謝の気持ちを表現する際に用いられる、日本語の敬語表現のひとつです。
主にビジネスの現場や式典、文書など、かしこまった場面で頻繁に登場します。
時折「おれいもうしあげます」と読まれることもありますが、正しい読みは「おんれいもうしあげます」です。
「御」という接頭語には、相手への敬意を表す意味が込められており、「礼」という語と合わせることで、深く丁重な感謝を伝える効果があります。
また、発音において「ん」の音をはっきりと伝えることで、より丁寧で改まった印象を与えることができます。
アナウンサーや司会者が特にこの発音を意識して使うのもそのためです。
歴史的な背景と社会的な定着
この表現は、感謝を伝えるだけでなく、相手に対して礼儀や敬意を示す意味合いを強く持っています。
起源は武士や公家の時代にまでさかのぼり、手紙や儀式における基本的な挨拶として根付いていきました。
江戸時代の往復書簡や明治期の公的文書などでも多く使用されており、長い時間をかけて現代のビジネスマナーの一部として発展してきました。
実際にはどんな場面で使う?
「御礼申し上げます」は、以下のような場面でとても自然に使うことができます。
- 商談や会議の終了後、相手に感謝を伝えるビジネスメール
- 結婚式、葬儀などの挨拶や礼状
- 講演会やシンポジウムのスピーチの締めくくり
- 年賀状や季節のご挨拶に添える感謝の一文
- 学会や展示会などでの謝辞
例文
「このたびは温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。」
親しい相手には不向き?
「御礼申し上げます」は非常に改まった言い回しであるため、日常会話や親しい人とのやりとりでは少し堅苦しく感じられるかもしれません。
たとえば、友人からのちょっとした贈り物に対して使うと、距離を感じさせてしまうことも。
そういった場合には「ありがとうございます」や「感謝しています」といった、より親しみやすい表現の方が適切です。
ただし、冠婚葬祭や正式な場では家族や親族に対しても「御礼申し上げます」を使うことで、礼儀正しい印象を与えることができます。
書き言葉・メールでの使用ポイント
ビジネス文書やメールでは、「御礼申し上げます」は文頭・文末どちらでも自然に使えます。
使用例
- 「略儀ながら、まずは書面にて御礼申し上げます。」
- 「平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」
結果に関係なく相手への敬意を伝えることで、ビジネスパートナーとの信頼構築にも繋がります。
「御礼」と「お礼」の違いを整理
「御礼」は、公式な文書やスピーチなど儀礼的な場で使われる、非常に格式高い表現です。
一方で「お礼」は、カジュアルで日常的な感謝を伝える言葉です。
簡単に覚えるなら、「御礼=書き言葉」「お礼=話し言葉」という区分で使い分けるとよいでしょう。
よく使われる類似表現と違い
表現 | 意味・特徴 |
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感謝申し上げます | やや柔らかく丁寧。幅広いビジネスメールで使用可能 |
厚く御礼申し上げます | 強い謝意を表す。式典や感謝状で使われやすい |
深謝いたします | 深く心からの感謝を示す。改まった文書向き |
謹んで御礼申し上げます | 非常に丁寧。公的なスピーチ・招待状などに最適 |
英語での丁寧な感謝表現とは?
英語において「御礼申し上げます」と完全に一致する表現はありませんが、丁寧な感謝を伝えるための近い表現には以下のようなものがあります:
- I would like to express my sincere gratitude.
- I am deeply grateful for your continued support.
- Please accept my heartfelt appreciation.
- I truly appreciate your generosity.
ビジネスメールでは、件名に「Appreciation」や「Thank You」などを入れることで、フォーマルな印象をより強調できます。
表記スタイルとその使い分け
表記 | 用途・印象 |
御礼申し上げます | 最も格式高い表記。ビジネスや公式な挨拶状に最適 |
お礼申し上げます | やや柔らかく、一般的なビジネス文書に合う |
御礼もうしあげます | ひらがな混じりでやさしい印象。親しみやすさ重視 |
オレイモウシアゲマス | カタカナ表記は通常のビジネス文書では不適切 |
誤った使い方を避けるためのポイント
- 「御礼を申し上げます」と冗長な表現にしない
- 一文に何度も繰り返さないようにする
- フランクな場面では使用を控える
- 読み間違い(「おれいもうしあげます」)に注意
まとめ:心を込めた敬意が伝わる言葉
「御礼申し上げます」は、感謝をより丁重に、そして誠実に伝えたいときに最適な表現です。
ただの定型句ではなく、相手への敬意や配慮を言葉に込めるための大切なツールといえます。
日常的に使いこなす必要はありませんが、使いどころを理解しておくことで、ビジネスでも人間関係でもワンランク上の信頼を得ることができるでしょう。
丁寧な言葉遣いは、その人の人柄や姿勢を映し出す鏡のようなもの。
状況に応じた敬語の使い分けを心がけながら、相手に伝わるコミュニケーションを意識していきたいものですね。