昔から日本の食卓で大活躍してきた梅干し。
おにぎりの中身にしたり、お弁当の彩りにしたりと身近な存在ですよね。
長期保存がきくうえに、身体にもいいとされていてまさに“日本のスーパーフード”といえるかもしれません。
でも、そんな梅干しには、ちょっと不思議な言い伝えやジンクスがいろいろあるって知っていましたか?
たとえば「梅干しが腐ると縁起が悪い」とか「うっかり捨ててしまうと、バチが当たるかも…」なんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
さらには「梅干しの呪い」なんて、ちょっとホラーっぽいワードもあったりして…。
いったい、どうしてそんな言い伝えがあるのか気になりますよね。
今回はそんな梅干しにまつわるちょっと不思議で、どこか神秘的な言い伝えについて、じっくり見ていきたいと思います。
梅干しが悪くなると災いが起きる?昔から伝わるちょっと不思議な話
「梅干しが傷むと縁起が悪い」なんていう話、どこかで聞いたことがある方も多いんじゃないでしょうか。
実はこれ昔の人たちのあいだで語り継がれてきた、いわゆる言い伝えのひとつなんですよね。
地域によって伝わり方には違いがあるんですが、代表的なものとしては、こんな内容がよく知られています。
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梅干しをダメにすると、家庭に不吉な出来事が起きる
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梅干しにカビが生えると、身内に不幸が訪れる
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傷んだ梅干しは、夫や父親の死を予兆する
こうして見ると内容はバラバラのように思えますが、どれも「梅干しが劣化すると悪いことが起きる」という点では共通しているんですよね。
だからこそ、昔の人たちは梅干しを大切に扱っていたのかもしれません。
とはいえ、これらは現代でいうところの“迷信”として扱われることが多くなっています。
でも、そもそもどうしてそんな話が生まれたんでしょうか?
調べてみると、背景にはいくつかの興味深い理由があって、大きく分けると3つの説があるようなんです。
なぜ「梅干しが腐ると縁起が悪い」と言われるのか?その背景にある3つの理由
理由その1 「手抜きの象徴」として見なされていたから
梅干しを自分で作るって、実はかなり手間がかかる作業なんですよね。
とくに昔の家庭では、たとえば江戸時代なんかだと、長期保存ができるように塩分濃度を30%近くにまで高めていたと言われています。
そんな塩っ辛い梅干しが簡単に腐るわけがない、というのが当時の人たちの常識だったようです。
だからこそ
- 「梅干しが腐るなんて、よっぽど衛生状態が悪いのでは?」
- 「家事をちゃんとやってないのでは?」
というふうに見られてしまったんですね。
つまり、腐った梅干しは「家事をおろそかにしているサイン」と受け取られていたわけです。
さらにはこういった考え方には“嫁”や“妻”に対するプレッシャーの意味もあったと言われています。
要するに「ちゃんと家のことをやらないとダメですよ」という無言の圧力だったのかもしれません。
現代の感覚ではちょっと厳しすぎるようにも思えますが、当時は今のように家電も便利な道具もありませんでした。
寒さに備えたり病気に対応したりさらに飢饉や戦に備えなければならない場面も多かったわけで、家事のひとつひとつがとても重要だったんですよね。
そう考えると梅干しひとつにしても「家の中の整え方」を測る目安として見られていたのも納得できる気がします。
理由その2 昔の人にとって、梅干しはまるで“お守り薬”だった
梅干しといえば、クエン酸が豊富で、疲れた体を元気にしてくれるイメージがありますよね。
今でも健康食品として注目されていますが昔はそれ以上に、まるで“薬”のように大切にされていたんです。
たとえば「梅は三毒を断つ」なんていうことわざ、聞いたことありませんか?
この“三毒”とは、水毒(体にたまった余分な水分)、血毒(血の巡りの悪さ)、食毒(食べすぎや食あたり)のこと。
つまり、梅干しはこれらの不調をリセットしてくれる万能アイテムと考えられていたんですよね。
そんな貴重な存在である梅干しが、もし腐ってしまったら……
それは、いざという時に頼れるものが手元にない、ということと同じなんです。
体調を崩しても回復の手立てがなくて、どんどん悪い方向に転んでしまう——そういうイメージが結びついていたようなんですよ。
だから「梅干しがない家=不幸を招く家」といった考えが、昔の人たちの間で自然と根づいていったのかもしれませんね。
理由その3 縁起物の梅干しが腐ると運気が下がると言われたワケ
実は梅干しって、見た目や成り立ちからして「縁起がいいもの」とされていたんです。
たとえば、梅の木は昔から厄除けの象徴とされてきましたし、梅干しのくしゅっとしたシワには「長生きできる」「夫婦が末永く仲良くいられる」といった意味が込められていたんですよね。
だから、梅干しはお祝いごとの席や特別な場面でもよく使われていました。
そんなありがたい縁起物が腐ってしまうというのは、かなり縁起が悪いと受け止められて当然だったのかもしれません。
「梅干しがダメになる=家の運気が下がっているサイン」
そんなふうに思われて、周囲から「なんだかあの家、最近ツイてないね」なんて陰で言われたりした可能性もあったんでしょうね。
たかが梅干し、されど梅干し——
こんなに深い意味が込められていたと思うと、ちょっとびっくりしちゃいますよね。
梅干しを捨てるとバチが当たるって、ほんとなの?
「梅干しなんて捨てたらバチが当たるよ」なんて言われたこと、ありませんか?
実はこれ、昔から語り継がれてきた言い伝えのひとつなんですよね。
詳しい由来については明確には残っていないのですが、その背景にいるのが“梅”を深く愛したことで知られる菅原道真公です。
道真公といえば、学問の神様として信仰されている天神様。
その彼が、梅の花をとても愛していたというのは有名な話で、多くの和歌にも梅を詠み込んでいたんですよね。
また、地方によっては「梅の種の中には天神様が宿っている」というちょっと神秘的な伝承もあるんです。
そのため、「梅の種をうかつに海や川に捨てるのはよくない」とされていて、水に流すと天神様の怒りに触れて、海が荒れてしまう…なんて話も伝えられています。
こうした話は、特に漁業に携わっていた人々の間で大切にされてきたようです。
自然の恵みを受けながら暮らしてきたからこそ、梅干し一粒にも“目に見えない力”を感じていたのかもしれませんね。
本当にあるの?梅干しにまつわる“呪い”の話
「一度梅干しを漬けたら、三年間は続けないといけない」
「毎年欠かさず漬けないと、その年に悪いことが起きるらしい…」
こんな話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
実はこれ、地域によって微妙に内容は違うものの、今もなお伝えられている言い伝えのひとつなんです。
そして、こうした一連の話が「梅干しの呪い」と呼ばれるようになったわけですね。
とはいえ、もちろん科学的な根拠があるわけではなく、あくまで昔の人々のあいだで語られてきた迷信の一種とされています。
そもそも梅という植物自体が、古くから縁起のよいものとされていて、とても大切に扱われてきたんですよね。
さらに、梅干しをちゃんと漬けるには、丁寧な作業と継続する気持ちが必要です。
手を抜かず毎年欠かさず漬けることが「家庭を整え、福を呼び込む行い」として自然に重んじられてきたのでしょう。
そんな価値観が時を経て「漬けなかった年には災難が降りかかるかも…」なんて、ちょっと怖い言い回しに変化していったのかもしれませんね。
古くからあるこうしたジンクスや伝承って、よくよく見てみると、その土地や暮らしの中から自然と生まれてきたものなんだなと感じさせられますよね。
まとめ
「梅干しが腐ると縁起が悪い」——そんな言い伝えの背景には、実はいくつかの意味深い理由が隠れていたんですよね。
たとえば……
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梅干しを漬ける作業や日々の家事には、丁寧さと心配りが求められていたこと
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梅干しが、昔は体を整える“自然の薬”のように大切にされていたこと
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縁起物とされていたため、傷んでしまうと運気まで下がるように思われていたこと
こうした要素が重なって、「梅干しを腐らせると不吉」なんて話が広まっていったんでしょうね。
さらに、「捨てるとバチが当たる」とか「呪いがある」といったちょっと怖い話も登場しましたが、どれも信仰や文化から生まれた迷信のひとつと考えられています。
それでも、こうした言い伝えを通して、昔の人たちがいかに梅干しを大切にしていたかが伝わってきますよね。
もし「梅干しの縁起にまつわる話、もっと知りたいな」と思った方は、ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね。