日本では新年を祝う伝統的な行事として大晦日に除夜の鐘が鳴らされます。この風習が持つ意味、なぜ鐘が108回鳴らされるのか、そしてその具体的な開始時刻について掘り下げてみましょう。
●除夜の鐘の象徴性
除夜の鐘は年末に、一年の罪や欲望を洗い流す目的で打たれます。
この鐘の音は、過ぎ去る年の終わりと新しい年の始まりを告げ、新たなスタートに向けた心の準備を促します。
●108回鐘を鳴らす理由
108回の鐘が鳴らされるのは、仏教の教えに基づくものです。
人が抱えるとされる108の煩悩を払い清めるため、各煩悩に対して一回ずつ鐘を鳴らすことで、新年を精神的に清らかな状態で迎えるための象徴的な行為とされています。
●鐘の鳴らし始めの時間
通常、除夜の鐘は12月31日の深夜、正午を過ぎた後に始められることが多いです。
この時刻は寺院によって異なる場合がありますが、新年の訪れと同時に新たな始まりを象徴する鐘の音が鳴り響くよう設定されています。
この美しい伝統は地域や寺院によって多少の違いがありますが、共通しているのは、新年を迎える際に心を清め、希望に満ちた新しいスタートを切ることです。
さまざまな解釈や習慣が存在するため、詳しい説明を以下で説明します！
煩悩を払い除く108回の意味
仏教において、人々が抱える煩悩は108あるとされています。これは心の乱れや欲望など精神的苦痛の原因となるものです。
除夜の鐘を108回鳴らすことにより、これらを象徴的に一掃し新年を清浄な心で迎えることを目的としています。
煩悩の数の計算方法
煩悩の108という数字は「六根」、
- 6つの感覚器官（眼、耳、鼻、舌、身、意）
- 三種類の感情（好、悪、平）
- それぞれの感情の状態（清、染）
- 時間の三段階（過去、現在、未来）
の組み合わせから導き出されます。これらの要素を掛け合わせることで、煩悩の数が108に達します。
一年を象徴する108回
一年を象徴する数字としての108は
- 月数（12）
- 二十四節気（24）
- 七十二候（72）
を加えたものです。
これらを合計すると108となり、年間の周期を象徴するものとして捉えられることがあります。
四苦八苦との関連
「四苦八苦」とは仏教で説かれる人生の苦しみを指します。
これには生、老、病、死の四苦と、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦の八苦が含まれます。
これらの苦を象徴するためにも、108の鐘が用いられるとされています。
除夜の鐘の正しい打ち方
除夜の鐘を打つ際には礼儀としての一連の行動が求められます。参拝者は静かに順番を待ち、
- 自分の番が来たら鐘の前で一礼
- 1回鐘を打った後に再び合掌します
これは新年に向けた願いや決意を新たにするための行動とされています。
鐘を打ち終えた後は次の参拝者のために迅速に場所を譲ります。
この行為は新年の祝福を分かち合うという共同体の精神を象徴しています。また、一部の寺院では、鐘を打つ際に僧侶が指導を行い、正しい打ち方を伝えることで、儀式の意義を深めます。
鐘を鳴らし始める時間
除夜の鐘の打ち始めは地域や寺院によって異なりますが、一般的には12月31日の22時半から23時の間に始まることが多いです。
これにより年内に全ての108回を打ち終える寺院もあれば、新年が始まる瞬間に最後の一回を打つ場合もあります。
除夜の鐘を打つ際の伝統的な方法
多くの寺院では年内に107回鐘を打ち、新年の瞬間に最後の1回を鳴らして新たな年を迎えます。
また除夜の鐘を大晦日の夜に始めて、新年を迎えるまでの間に108回を跨いで打つ方法もあります。これにより、古い年と新しい年の境界を象徴的に表現しています。
除夜の鐘を打つ際のマナー
除夜の鐘は一部の寺では僧侶のみが打つことが許されていますが、多くの寺院では一般の参拝者にも鐘を打つ機会が提供されます。
鐘を打つ際には周囲に配慮し、打ち終わった後は迅速に場所を譲ることが大切です。
また、鐘を打つ際に僧侶が立ち会い、正しい打ち方を指導することもあります。
これらの伝統的な行事を通じ参拝者は新年を迎える準備として、
- 自身の心を浄化
- 新たな年を清らかな心
で迎える機会を持つことができます。
寺院による鐘の打ち方の指導
多くの寺院では、参拝者に鐘の正しい打ち方を教えるために僧侶が立ち会います。
この指導は鐘を打つ行為が単なる形式ではなく、精神的な浄化と新たな始まりを象徴する重要な儀式であることを理解させるためです。
僧侶は打ち終わりに合掌をし、それに応じて参拝者も合掌します。
お寺の除夜の鐘イベントとその参加方法
除夜の鐘イベントに参加する際は事前に各寺院のルールを確認することが推奨されます。
一部の寺院では、鐘を打つための整理券を配布している場合があり、これにより参拝者全員が鐘を打つ機会を得られるように配慮されています。
また108回を超えても続ける寺院もありますが、108回丁度に調整するための工夫も見られます。
この新年には自分で鐘を打って一年の穢れを祓い、清新な心で新たな年を迎える機会を持ちましょう。
これは新しい年の始まりを祝うとともに、個人の精神的な成長と反省の瞬間を提供する貴重な伝統です。
