黒いトンボの種類と特徴！「神様トンボ」と呼ばれる理由とは？

川沿いや池のある公園などで見かける黒っぽいトンボには、外見以上の魅力があります。

体全体が黒く見える姿はどこか神秘的で、古くから「神様トンボ」と呼ばれ、地域によっては“神様トンボ”と呼ばれ、祖先の霊を象徴すると考えられてきました。

この記事では、黒いトンボの代表格である「ハグロトンボ」と「アオハダトンボ」を中心に、それぞれの羽の色味や姿かたち、見られる季節、生息場所の特徴などをわかりやすくまとめています。

さらに、一般的なトンボとの飛び方や羽ばたきの違い、地域ごとに伝わる言い伝えや神秘的なイメージについても紹介します。

夏のお出かけの際には、黒いトンボに目を向けてみるのもおすすめです。

思いがけない出会いが、心を落ち着かせてくれる瞬間につながるかもしれません。

黒いトンボとは？なぜ昔から縁起のよい存在とされてきたのか

川沿いや池のある公園などでひらひらと飛ぶ黒いトンボには、古くから特別な意味が込められてきました。

一般的なトンボとは違う羽の色合いや雰囲気から、「ただの虫」としてではなく、幸運のサインや霊的な存在として捉えられることも少なくありません。

ここでは、黒いトンボが縁起物とされるようになった背景や、マイナスイメージとの誤解について丁寧に解説していきます。

黒いトンボが持つ象徴的（霊的）な存在

黒いトンボは土地によって「神様トンボ」「仏トンボ」と呼ばれ、信仰の対象と結びつけて考えられてきました。

羽を閉じたり静かに開いたりする仕草が“祈り”のように見えることや、ゆっくりと漂うような飛び方も神秘的な印象を与える理由です。

とくにお盆の頃には「ご先祖さまが姿を借りて戻ってくる」と信じられ、見かけると嬉しい知らせがあると言い伝えられています。

「黒＝不吉」というイメージとのズレ

黒という色は、死や闇、怖さと結びつけられることが多いため、黒いトンボにも不吉な印象を持つ人がいます。

しかし実際には、人間に害を与えることはなく、水辺の自然が豊かな証とされるほどです。

本来の解釈に目を向けると、昔の人々は“黒”という色に浄化や守護の意味を見出していたようです。

黒く見えるの代表種とその特徴

黒いトンボとしてよく知られているのは、以下の2種類です。

• ハグロトンボ

• アオハダトンボ

どちらもカワトンボ科に属していますが、見られる場所や時期、出現する環境に違いがあります。

◆ ハグロトンボ｜もっとも身近な黒いトンボ

昔のお歯黒文化にちなんだ名前を持ち、黒くて透けない羽が特徴です。

川沿いや公園の近くでよく見られ、各地で「神様トンボ」と呼ばれることもあります。

基本データ

◆ アオハダトンボ｜清流でしか出会えないレア種

アオハダトンボは限られた環境にしか生息せず、観察できる地域もわずかです。

数が減っており、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されています。

基本データ

見つけることができたら、その土地の自然が保たれている証拠とも言えます。

見られる季節や場所は？

出現時期は種類によって異なります。

• ハグロトンボ：6〜10月

• アオハダトンボ：5〜7月

特にお盆の時期は姿を見かけやすく、信仰や言い伝えとも深く関係しています。

生息しやすい場所の特徴

• 流れのゆるやかな川辺

• 水草が育つ浅瀬

• 木陰のある里山の渓流

• 日当たりが良い水辺

都市部でも、井の頭公園（東京）など一部の自然公園で確認できることがあります。

普通のトンボとの違いは？

黒いトンボには、見た目以外にもわかりやすい特徴があります。

■ 飛び方の違い

一般的なトンボは速度が速く、ホバリングも得意なのに対し、黒いトンボはふんわり舞うように飛びます。

蝶のような優雅さがあり、それが神聖視されてきた理由のひとつでもあります。

■ 羽の見た目

多くのトンボは半透明の羽を持ちますが、黒いトンボはしっかり色づいた不透明な羽が特徴です。

性別による色の違いもほぼ見られません。

民間信仰や地域文化とのつながり

黒いトンボは、自然信仰や祖霊信仰と結びついて考えられてきました。

◆ お盆との関係

お盆の頃に黒いトンボが増えることから、「ご先祖が姿を借りて帰ってくる」と信じられ、捕まえたり追い払ったりしてはいけないと言われる地域もあります。

◆ 各地の言い伝え

「捕まえるとよくないことが起こる」と言われるのは、子どもが乱獲しないようにするための戒めが背景にあります。

怖い存在ではなく“守るべき生き物”という考えが根底にあるのです。

まとめ！黒いトンボは自然と信仰をつなぐ象徴

黒いトンボは、美しい自然環境が残っている証でもあり、昔から精神文化・風習とも深く関わってきた生き物です。

最後にもう一度ポイントを整理しておきます。

• ハグロトンボ・アオハダトンボが代表

• 清流や公園など水のきれいな場所に現れる

• 羽が黒く不透明で、見分けやすい

• 飛び方は優雅で蝶のよう

• お盆には祖先とのつながりの象徴とされる

• 縁起の良い存在・守護の象徴としても扱われる

夏の散策や自然観察の際には、少し視線を川辺や水辺に向けてみてください。

静かに羽ばたく黒いトンボとの出会いが、心に残るひとときになるかもしれません。